
米国における現地調査報告
本協議会では、海外におけるスポーツDXの最新動向やスポーツ産業の実態調査を行っております。この度、2022年6月1日から6日にかけて米国(NY州、NJ州、ワシントンD.C.)を訪問し、以下の通り現地調査を行いましたのでご報告いたします。
■調査内容:
プロスポーツリーグ、スポーツブックオペレーター、データプロバイダー、規制当局等の、米国のスポーツベッティング市場における様々なステークホルダーを対象に、各州における合法化の経緯や現状の市場動向、規制状況等についてヒアリング。
■訪問先:
・プロスポーツリーグ:National Basketball Association(NBA)本部、Major League Baseball(MLB)本部
・スポーツブックオペレーター:DraftKings(本社)、FanDuel(本社)
・データプロバイダー:Sportradar(NY支社)
・消費者保護団体:National Council on Problem Gambling(NCPG)
・業界団体:American Gaming Association(AGA)
・規制当局(NJ州):Division of Gaming Enforcement(DGE)
■総括:
✓ 米国では1992年にスポーツベッティングを全州で禁止する連邦法(PASPA)が制定されたが、このような規制でこれを抑止することはできなかったため、それならばむしろ適切にルールを整備することにより安全な市場を形成することで、消費者およびスポーツインテグリティを保護するとともに、収益の国内還流(マネタイズ、税収)につなげるべきであるとの認識・考え方が一般的となっていった。
✓ 2018年のPASPAの違憲判決後、デイリーファンタジースポーツ(※)を提供する米国企業が、優れたUI/UXを提供する素地を有していたことからスポーツブックオペレーターとしても急成長した。また、スポーツブックオペレーターを公認すること、データプロバイダーとライセンス契約を結ぶことから得られる手数料等、スポーツリーグは新たな収益源を得ると同時に、ファンエンゲージメントの向上により放映権をはじめとした価値の底上げも実現している。
※ ベッティング機会の増加によるリスク拡大を抑一定のルールのもと実在する選手を集めた架空のチームを編成し、当該選手の実際のプレーをポイント化 して競い合う「ファンタジースポーツ」のうち、対象の試合群を1日または1節等の短期間に設定の上実施されるもの。
✓ ベッティング機会の増加によるリスク拡大を抑えるためにも、収益の一部を依存症や八百長などのリスク対策にあてるような制度設計が不可欠とされている。
公表日:2022年8月24日